【コラム】事業所経営にあたり知っておきたい「減価償却」の考え方
減価償却の考え方・・・
さて、今回は事業所施設の経営についてのお話です。収支計画や運営での日々のキャッシュフロー管理において、知っておきたい減価償却について。なんだか難しそうだし言葉が苦手・・・と言う方もいらっしゃるかと思います。
これまで、会計に携わったことがない方の場合、「減価償却」という言葉を詳しく理解できていないというケースも少なくありません。減価償却費について理解をして、適切に処理することで放課後等デイサービスの事業所経営に役立てることが期待できます。
ここでは、減価償却の意味や計算方法、そして院内の設備で当てはめることができる減価償却の事例などを、2回に分けてご紹介します。一緒にじっくり理解していきましょう!
1.節税効果がある「減価償却」
減価償却というのは、建物や内装、機械装置などの有形固定資産、ソフトウェアなどの無形固定資産を資産ごとに設定されている耐用年数で分割して計上することを言います。
減価償却最大のメリットは、費用を翌年度以降に分散したり節税効果があったりすることです。費用を分割計上することによって、放課後等デイサービスを開業する際に、設備投資をたくさんしても、初年度に一気に損が膨らまないようにすることができます。
ただし、何でもかんでも固定資産にできるわけではありません。10万円以上のものが対象となっており、修繕などの費用は固定資産にすることができません。なお、翌年度以降に費用を繰り越せるのはメリットです。しかし、ある程度事業が軌道に乗ってくると、逆に初年度にすべて費用計上できないことをデメリットに感じてしまうこともあるでしょう。
また、近年では技術の発達により、新しい設備に乗せ換える間隔が短くなっているものも多いようです。しかし、法定耐用年数については変化がないので、「法定耐用年数通りに資産を活用できるとは限らない」というデメリットもあります。
2.減価償却費の計算方法
減価償却の計算方法は、大きく分けて次の2種類あります。
定額法
定額法は、文字通り減価償却費を毎年定額費用計上していくことです。例えば、200万円の資産を購入して耐用年数が10年だとすると1年間の償却費は下記のとおりです。
- 1年間の減価償却費=200万円÷10年=20万円/年
- 1ヵ月の減価償却費=20万円÷12か月=16,666円/月
このように計算方法はとても単純であり、だれでも簡単に算出することができるでしょう。
定率法
定率法は、年度初めの未償却残高(期首簿価額)に対して、一定の率によりその年の減価償却費を算出する計算方法です。償却率は、資産種類と耐用年数によって決まっています。例えば、200万円の固定資産の耐用年数が10年の場合、償却率は0.200となり、次のような計算となります。
- 初年度の減価償却費=200万円×0.200=40万円/年=33,333円/月
- 2年目の減価償却費=(200万円-40万円)×0.200=32万円/年=26,666円/月
- 3年目の減価償却費=(200万円-72万円)×0.200=25.6万円/年=21,333円/月
ただし、改定償却率を下回った場合は、計算方法が変わるのでご注意ください。固定資産の減価償却は、有形固定資産は1円を残して償却、無形固定資産は0円になるまで償却をするルールとなっています。
なお、青色申告をしている事業者の場合は、一部税法上の特例を適用することが可能です。10万~20万円の資産を購入した場合、次の3つの償却方法を選択することができます。
- 通常の減価償却
- 一括償却資産
- 少額減価償却資産の特例
そして、20万~30万円の資産を購入した場合は、次の2つの償却方法から選択することができます。
- 通常の減価償却
- 少額減価償却資産の特例
一括償却資産というのは、耐用年数にかかわらず、3年の均等償却が可能となります。
さらに、固定資産税の対象外となるので節税にもなるでしょう。少額減価償却資産の特例は、減価償却として分割費用計上するのではなく、一括で損金計上することが可能です。
利益を圧縮できるので、節税効果がありますが、現状2020年3月31日までが期限となっているので気を付けましょう。
次回は「事業所内の設備にも当てはまるかも!減価償却の例」をご紹介します♪