令和6年度障害児通所支援事業の報酬改定に関する現状報告
【令和6年度障害児通所支援事業の報酬改定に関する現状報告】
この記事は、厚生労働省より公表されている資料に基づき、令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における障害児通所支援事業(児童発達支援・放課後等デイサービス)をまとめたものです。(2024年(令和6年)3月8日作成)
・障害福祉サービス等報酬改定検討チーム「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要(令和6年2月6日公表)」
今後、厚生労働省より最新の情報が公表されたのち、ご記載の内容が変更及び修正等がある可能性がございますので、予めご了承いただきますようお願い申し上げます。
目次
1.基本報酬体系の見直し[共通]
2.延長支援加算の見直し[共通]
3.児童指導員等加配加算の見直し[共通]
4.専門的支援加算・特別支援加算の見直し[共通]
5.家庭連携援加算・事業所内相談支援加算の見直し[共通]
6.関係機関連携加算の見直し[共通]
7.事業所間連携加算の新設[共通]
8.医療連携体制加算(Ⅳ)の見直し[共通]
9.入浴支援加算の新設[共通]
10.送迎加算の見直し[共通]
11.集中的支援加算の新設[共通]
12.強度行動障害児支援加算の見直し[共通]
13.個別サポート加算(Ⅰ)の見直し[児発]
14.個別サポート加算(Ⅰ)の見直し[放デイ]
15.個別サポート加算(Ⅱ)の見直し[共通]
16.個別サポート加算(Ⅲ)の新設[放デイ]
17.人工内耳装用児支援加算(Ⅱ)の新設[共通]
18.視覚・聴覚・言語機能障害児支援加算の新設[共通]
19.子育てサポート加算の新設[共通]
20.保育・教育等移行支援加算の見直し[共通]
21.通所自立支援加算の新設[放デイ]
22.自立サポート加算の新設[放デイ]
23.処遇改善加算の見直し[共通]
24.身体拘束廃止未実施減算の見直し[共通]
25.虐待防止措置未実施減算の新設[共通]
26.業務継続計画未策定減算の新設[共通]
27.情報公表未報告減算の新設[共通]
28.総合的な支援の推進[共通]
29.支援プログラム未公表減算の新設[共通]
30.個別支援計画の共有[共通]
31.本人の意向を踏まえたサービス提供(同性介助)[共通]
32.人員基準における両立支援への配慮等[共通]
33.障害福祉現場の業務効率化等を図るためのICTの活用等[共通]
1.基本報酬体系の見直し[共通]
- 発達支援に対するきめ細かい評価とする観点から、極めて短時間の支援(30分未満)は算定対象から原則除外するとともに、個別支援計画に定めた個々の利用者の支援時間に応じた評価が可能となるよう、支援時間による区分を設ける。
- 支援時間による区分は、「30分以上1時間30分以下」、「1時間30分超3時間以下」、「3時間超5時間以下」の3区分とする。
- 基本報酬体系と併せて延長支援加算を見直し、児発においては5時間、放デイにおいては平日に3時間・学校休業日に5時間を超える長時間の支援については、預かりニーズに対応した延長支援として、延長支援加算により評価を行う。
- 時間区分は個別支援計画に定めた支援時間で判定することを基本としつつ、事業所の都合で支援時間が短くなった場合は、実支援時間で判定する。
2.延長支援加算の見直し[共通]
- 基本報酬体系において一定の時間区分を超えた時間帯の支援について、預かりニーズに対応した延長支援として評価を行う。
- 延長時間帯の職員配置については、安全確保の観点から2人以上の配置を求めるとともに、児童発達支援管理責任者の対応も認める。
算定要件
〇基本報酬における最長時間区分に対応した時間(※)の支援に加えて、その前後に預かりニーズに対応した支援を計画的に行った場合。
〇職員を2名以上配置。(うち1名は、児発管含む人員基準により置くべき職員)
※児発…5時間
※放デイ…授業終了後:3時間学校休業日:5時間
★現行
・営業時間が8時間以上であり、営業時間の前後の時間に預かりニーズに対応した支援を計画的に行った場合。
・人員基準により置くべき直接支援職員を1名以上を配置。
3.児童指導員等加配加算の見直し[共通]
- 専門職による支援の評価は専門的支援加算により行うこととし、経験ある人材の活用・評価を推進する観点から、配置形態(常勤・非常勤等)や経験年数に応じた評価を行う。
4.専門的支援加算・特別支援加算の見直し[共通]
- 専門人材の活用とニーズを踏まえた計画的な専門的支援の実施を進める観点から、両加算を統合し、専門的な支援を提供する体制と、専門人材による個別・集中的な支援の計画的な実施について、2段階で評価を行う。
算定要件
〇専門的支援体制加算
・基準の人員に加えて理学療法士等を配置した場合。
〇専門的支援実施加算
・理学療法士等により、個別・集中的な専門的支援を計画的に行った場合。
・原則、児発は月4回、放デイは月2回を限度。利用日数等に応じて最大月6回を限度とする。
5.家庭連携援加算・事業所内相談支援加算の見直し[共通]
- 家庭連携加算(居宅への訪問による相談援助)について、訪問支援を促進する観点から、評価の見直しを行う。
- 事業所内相談支援加算(事業所内での相談援助)について、家族のニーズや状況に応じた支援の提供を促進する観点や、オンラインによる相談援助を推進する観点から、評価の見直しを行う。
- 両加算を統合し、個別とグループでの支援に整理して評価を行う。
- きょうだいへの支援も促進されるよう、統合後の加算において、きょうだいも相談援助等の対象であることを明確化する。
算定要件
〇家族支援加算Ⅰ
・きょうだいを含む入所児童の家族に対して個別に相談援助等を行った場合。
〇家族支援加算Ⅱ
・きょうだいを含む入所児童の家族に対してグループでの相談援助等を行った場合。
6.関係機関連携加算の見直し[共通]
- こどもと家族に対する包括的な支援を進める観点から、対象となる関係機関に医療機関や児童相談所等を含めるとともに、個別支援計画作成時以外に情報連携を行った場合の評価を行う。
算定要件
〇関係機関連携加算(Ⅰ)
・保育所や学校等との個別支援計画に関する会議を開催し、連携して個別支援計画を作成等した場合。(※現行の1)
〇関係機関連携加算(Ⅱ)
・保育所や学校等との会議等により情報連携を行った場合。
〇関係機関連携加算(Ⅲ)
・児童相談所、医療機関等との会議等により情報連携を行った場合。
〇関係機関連携加算(Ⅳ)
・就学先の小学校や就職先の企業等との連絡調整を行った場合。(※現行のⅡ)
7.事業所間連携加算の新設[共通]
- 障害児支援の適切なコーディネートを進める観点から、セルフプランで複数事業所を併用する児について、事業所間で連携し、こどもの状態や支援状況の共有等の情報連携を行った場合の評価を行う。
- 併せて、セルフプランの場合に、自治体から障害児支援利用計画を障害児支援事業所に共有、また障害児支援事業所から個別支援計画を自治体に共有して活用する仕組みを設ける。
算定要件
〇事業所間連携加算(Ⅰ)※主催
・セルフプランで障害児支援の複数事業所を併用する児について、コーディネートの中核となる事業所として、会議を開催する等により事業所間の情報連携を行うとともに、家族への助言援助や自治体との情報連携等を行った場合。
〇事業所間連携加算(Ⅱ)※参加
・(Ⅰ)により行われる会議に参画する等、事業所間の情報連携を行い、その情報を事業所内で共有するとともに、必要に応じて個別支援計画の見直しを行うなどにより支援に反映させた場合。
8.医療連携体制加算(Ⅳ)の見直し[共通]
- 医療的ケア児への支援の促進を図る観点から、評価の見直しを行う。
- 主として重症心身障害児に対して支援を行う事業所においても算定を可能とする。(※医療的ケア区分による基本報酬の事業所は、これまで通り非該当。)
算定要件
〇喀痰吸引等が必要な障害児に対して、認定特定行為業務従事者が、医療機関等との連携により、喀痰吸引等を行った場合。(医療的ケア区分による基本報酬を算定している場合は算定しない。)
★現行
喀痰吸引等が必要な障害児に対して、認定特定行為業務従事者が、医療機関等との連携により、喀痰吸引等を行った場合。(医療的ケア区分による基本報酬又は主として重症心身障害児に対して支援を行う場合の基本報酬を算定している場合は算定しない。)
9.入浴支援加算の新設[共通]
- こどもの発達や日常生活、家族を支える観点から、医療的ケア児や重症心身障害児に、発達支援とあわせて入浴支援を行った場合の評価を行う。
算定要件
〇医療的ケア児又は重症心身障害児に、発達支援とあわせて入浴支援を行った場合。
10.送迎加算の見直し[共通]
- 医療的ケア児や重症心身障害児の送迎について、こどもの医療濃度等も踏まえた評価を行う。
算定要件
〇医療的ケア児又は重症心身障害児に、発達支援とあわせて入浴支援を行った場合。
〇医療的ケア児や重症心身障害児の送迎について、こどもの医療濃度等も踏まえた評価を行う。
11.集中的支援加算の新設[共通]
- 状態が悪化した強度行動障害を有する児に対し、高度な専門性により地域を支援する広域的支援人材が、事業所等を集中的に訪問等(情報通信機器を用いた地域外からの指導助言も含む)し、適切なアセスメントと有効な支援方法の整理をともに行い、環境調整を進めることを評価する加算を創設する。
算定要件
〇強度行動障害を有する児者の状態が悪化した場合に、広域的支援人材が事業所を訪問し、集中的な支援を行った場合。
12.強度行動障害児支援加算の見直し[共通]
- 強度行動障害を有する児への支援を充実させる観点から、支援スキルのある職員の配置や支援計画の策定等を求めた上で、評価を充実する。
- 専門人材の支援の下、行動障害の状態がより強い児に対して支援を行った場合の評価の見直しを行う。(※放デイのみ)
算定要件
〇強度行動障害児支援加算(Ⅰ)
・強度行動障害支援者養成研修(実践研修)を修了した職員を配置し、強度行動障害を有する児(児基準20点以上)に対して、支援計画を作成し当該計画に基づき支援を行った場合。
〇強度行動障害児支援加算(Ⅱ)[放デイ]
・強度行動障害支援者養成研修(中核的人材養成研修)を修了した職員を配置し、強度行動障害を有する児(児基準30点以上)に対して、支援計画を作成し当該計画に基づき支援を行った場合。
★現行
強度行動障害支援者養成研修(基礎研修)を修了した職員を配置し、強度行動障害を有する児(児基準20点以上)に対して支援を行った場合。
13.個別サポート加算(Ⅰ)の見直し[児発]
- 保護者の負担軽減・事務の効率化の観点から、基本報酬に包括化して評価することとした上で、重度障害児への支援を充実させる観点から、著しく重度の障害児が利用した場合に評価を行う。
- 行動障害の予防的支援を充実させる観点から、強度行動障害の知識のある職員による支援を行った場合の評価を充実するとともに、重度障害児への支援を充実させる観点から、著しく重度の障害児が利用した場合の評価の見直しを行う。
算定要件
〇重症心身障害児等、著しく重度の障害児に対して支援を行った場合。(主として重症心身障害児が利用する事業所の基本報酬を算定している場合を除く。)
★現行
著しく重度又は行動上課題のあるケアニーズの高い障害児(※)に対して支援を行った場合。(主として重症心身障害児が利用する事業所の基本報酬を算定している場合を除く。)
※乳幼児等サポート調査表で、食事・排せつ・入浴・移動が一定の区分に該当。
14.個別サポート加算(Ⅰ)の見直し[放デイ]
- 行動障害の予防的支援を充実させる観点から、強度行動障害の知識のある職員による支援を行った場合の評価を充実するとともに、重度障害児への支援を充実させる観点から、著しく重度の障害児が利用した場合の評価の見直しを行う。
算定要件
① ケアニーズの高い障害児に対して支援を行った場合。
② ケアニーズの高い障害児に対して強度行動障害者養成研修(基礎研修)修了者を配置し支援を行った場合、又は著しく重度の障害児に対して支援を行った場合。(いずれも主として重症心身障害児が利用する事業所の基本報酬を算定している場合を除く。)
★現行
著しく重度(※1)又はケアニーズの高い(※2)障害児に対して支援を行った場合。(主として重症心身障害児が利用する事業所の基本報酬を算定している場合を除く。)
※1…食事・排せつ・入浴・移動のうち3以上が全介助。
※2…就学時サポート調査表13点以上。
15.個別サポート加算(Ⅱ)の見直し[共通]
- 要支援・要保護児童への支援の充実を図る観点から、こども家庭センターやサポートプランに基づく支援との連携を推進しつつ、評価の見直しを行う。
算定要件
〇要保護児童・要支援児童に対し、児童相談所やこども家庭センター等と連携(※)し支援を行った場合。
※支援の状況等を6月に1回以上共有。
★現行
要保護児童・要支援児童に対し、児童相談所等と連携(※)し支援を行った場合。
※支援の状況等を年1回以上共有。
16.個別サポート加算(Ⅲ)の新設[放デイ]
- 継続的に学校に通学できない児童(不登校児童)への支援の充実を図る観点から、通常の発達支援に加えて、学校との連携を図りながら支援を行った場合の評価を行う。
算定要件
〇不登校の状態にある障害児に対して、学校との連携の下、家族への相談援助等を含め、支援を行った場合。
17.人工内耳装用児支援加算(Ⅱ)の新設[共通]
- 難聴児支援の充実を図る観点から、人工内耳を装用している児に支援を行った場合の評価を行う。
※人工内耳装用児支援加算(Ⅰ)は、児童発達支援センターのみ。
算定要件
〇眼科・耳鼻咽喉科の医療機関との連携の下、言語聴覚士を配置し、人工内耳を装用している児に対して、専門的な支援を計画的に行った場合。
18.視覚・聴覚・言語機能障害児支援加算の新設[共通]
- 視覚障害児や重度の聴覚障害児への支援を促進する観点から、意思疎通に関して専門性を有する人材を配置して支援を行った場合の評価を行う。
算定要件
〇視覚又は聴覚若しくは言語機能に重度の障害のある児に対して、意思疎通に関して専門性を有する人材を配置して、支援を行った場合。
19.子育てサポート加算の新設[共通]
- 家族の障害特性への理解と養育力の向上につなげる観点から、家族が支援場面等を通じて、こどもの特性や、特性を踏まえたこどもへの関わり方等を学ぶことができる機会を提供した場合の評価を行う。
算定要件
〇保護者に支援場面の観察や参加等の機会を提供した上で、こどもの特性や、特性を踏まえたこどもへの関わり方等に関して相談援助等を行った場合。
20.保育・教育等移行支援加算の見直し[共通]
- 保育所等への移行に向けた取組を推進する観点から、保育・教育等移行支援加算について、保育所等への移行前の移行に向けた取組等についても評価を行う。
算定要件
①退所前に移行に向けた取組(※)を行った場合。
②退所後に居宅等を訪問して相談援助を行った場合。(現行)
③退所後に保育所等を訪問して助言・援助を行った場合。
※移行先への助言援助や関係機関等との移行に向けた協議等。
★現行
障害児が地域において保育・教育等を受けられるよう支援を行うことにより、通所支援事業所を退所して保育所等に通うことになった場合。(退所後に居宅等を訪問して相談援助を行った場合。)
21.通所自立支援加算の新設[放デイ]
- こどもの自立に向けた支援を促進する観点から、こどもの状態等も踏まえながら、通所や帰宅の機会を利用して自立に向けた支援を計画的に行った場合の評価を行う。
算定要件
〇学校・居宅等と事業所間の移動について、自立して通所が可能となるよう、職員が付き添って計画的に支援を行った場合。
22.自立サポート加算の新設[放デイ]
- こどもの自立を見据えた支援を促進する観点から、高校生について、学校や地域との連携の下、学校卒業後の生活を見据えた支援を行った場合の評価を行う。
算定要件
〇高校生(2年生・3年生に限る)について、学校卒業後の生活に向けて、学校や地域の企業等と連携しながら、相談援助や体験等の支援を計画的に行った場合。
23.処遇改善加算の見直し[共通]
- 福祉・介護職員等の確保に向けて、福祉・介護職員等の処遇改善のための措置をできるだけ多くの事業所に活用されるよう推進する観点から、福祉・介護職員処遇改善加算、福祉・介護職員等特定処遇改善加算、福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算について、現行の各加算・各区分の要件及び加算率を組み合わせた4段階の「福祉・介護職員等処遇改善加算」に一本化する。
- 今般新たに追加措置する処遇改善分を活用し、加算率を引き上げる。(経過措置区分として、令和6年度末まで現行の3加算の取得状況に基づく加算率を維持した上で、今般の改定による加算率の引き上げを行う。)
- 新加算においては、加算・賃金改善額の職種間配分ルールを統一する。(福祉・介護職員への配分を基本とし、特に経験・技能のある職員に重点的に配分することとするが、事業所内で柔軟な配分を認める。)
- 月額賃金の改善に関する要件を見直し、新加算Ⅳの加算額の1/2以上を月額賃金に充てることとする。
- 令和7年度に、職場環境等要件の見直しを行う。
算定要件
〇福祉・介護職員等処遇改善加算(Ⅰ)
・福祉・介護職員等処遇改善加算(Ⅱ)の要件を全て満たす。
・経験技能のある福祉・介護職員を事業所内で一定割合以上配置。
〇福祉・介護職員等処遇改善加算(Ⅱ)
・福祉・介護職員等処遇改善加算(Ⅲ)の要件を全て満たす。
・賃金改善後の賃金年額440万以上が1人以上。
・職場環境の更なる見える化。※令和7年度より見直し。
☞グループ毎の配分ルールは撤廃。
〇福祉・介護職員等処遇改善加算(Ⅲ)
・福祉・介護職員等処遇改善加算(Ⅳ)の要件を全て満たす。
・資格や勤続年数等に応じた昇給の仕組みの整備。
〇福祉・介護職員等処遇改善加算(Ⅳ)
・加算額の1/2以上を月額賃金で配分。
・職場環境の改善。(職場環境等要件)※令和7年度より見直し
・賃金体系の整備及び研修の実施等。
[児発]
[放デイ]
24.身体拘束廃止未実施減算の見直し[共通]
- 令和3年度から義務化された身体拘束等の適正化を図る取組みを未実施の事業所に対して、身体拘束等の適正化の徹底を図る観点から、減算額の見直しを行う。
※最も低い基本報酬(放デイの区分1)でも574単位なので、実質引き上げ。
算定要件 ※変更なし
次の基準を満たしていない場合。
①身体拘束等を行う場合に、その態様及び時間、利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由その他必要な事項を記録すること。
②身体拘束等の適正化のための対策を検討する委員会を定期的(少なくとも1年に1回以上)に開催するとともに、その結果について、従業者に周知徹底を行うこと。
③身体拘束等の適正化のための指針を整備すること。
④従業者に対し、身体拘束等の適正化のための研修を定期的(少なくとも1年に1回以上)に実施すること。
25.虐待防止措置未実施減算の新設[共通]
- 令和4年度から義務化された障害者虐待防止措置を未実施の事業所に対して、基本報酬を減算する。
- 指定基準の解釈通知において、以下の2点を明示する。
1.虐待防止委員会(身体拘束適正化委員会を含む。)において、外部の第三者や専門家の活用に努める。
2.障害福祉サービス事業所等の管理者及び虐待防止責任者が、都道府県の実施する虐待防止研修を受講することが望ましい。
算定要件
次の基準を満たしていない場合。
①虐待防止委員会を定期的に開催するとともに、その結果について従業者に周知徹底を図ること。
②従業者に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること。
③上記措置を適切に実施するための担当者を置くこと。
26.業務継続計画未策定減算の新設[共通]
- 感染症や災害が発生した場合であっても、必要な障害福祉サービス等を継続的に提供できる体制を構築するため、業務継続に向けた計画の策定の徹底を求める観点から、感染症又は非常災害のいずれか又は両方の業務継続計画が未策定の場合、基本報酬を減算する。
算定要件
〇次の基準に適応していない場合。
①感染症や非常災害の発生時において、利用者に対するサービスの提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(業務継続計画)を策定すること。
②当該業務継続計画に従い必要な措置を講ずること。
27.情報公表未報告減算の新設[共通]
- 利用者への情報公表、災害発生時の迅速な情報共有、財務状況の見える化の推進を図る観点から、障害福祉サービス等情報公表システム上、未報告となっている事業所に対する「情報公表未報告減算」を新設する。
- また、施行規則において、都道府県知事は指定障害福祉サービス事業者等の指定の更新に係る申請があった際に、情報公表に係る報告がされていることを確認することとする。
算定要件
〇障害者総合支援法第7 6 条の3の規定に基づく情報公表に係る報告がされていない場合。
★都道府県等による確認
都道府県知事等は、指定障害福祉サービス事業者等の指定の更新に係る申請があったときは、当該申請に係る事業者から障害者総合支援法第76 条の3の規定に基づく情報公表に係る報告がされていることを確認するものとする。
28.総合的な支援の推進[共通]
- 適切なアセスメントの実施とこどもの特性を踏まえた支援を確保する観点から、運営基準に総合的な支援について新設及び一部改正を行う。
- 事業所に対して、支援における5領域(※)を全て含めた総合的な支援を提供することを基本とし、支援内容について、事業所の個別支援計画等において5領域とのつながりを明確化した上で提供することを求める。
※「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」
運営基準
・指定児童発達支援事業者は、障害児の適性、障害の特性その他の事情を踏まえた指定児童発達支援の確保並びに指定児童発達支援の質の評価及びその改善の適切な実施の観点から、指定児童発達支援の提供に当たっては、心身の健康等に関する領域を含む総合的な支援を行わなければならない。
・児童発達支援管理責任者は、(中略)心身の健康等に関する領域との関連(中略)を踏まえた指定児童発達支援の具体的内容、指定児童発達支援を提供する上での留意事項その他必要な事項を記載した児童発達支援計画の原案を作成しなければならない。
・総合的な支援と支援内容の見える化を進める観点から、運営基準に支援プログラムの公表について新設する。
・事業所に対して、5領域とのつながりを明確化した事業所全体の支援内容を示すプログラム(支援プログラム)の作成・公表を求めるとともに、未実施の場合の報酬の減算を設ける。
※1年の経過措置期間を設ける。
・指定児童発達支援事業者は、指定児童発達支援事業所ごとに指定児童発達支援プログラム(心身の健康等に関する領域との関連性を明確にした指定児童発達支援の実施に関する計画をいう。)を策定し、インターネットの利用その他の方法により公表しなければならない。
※児童発達支援の運営基準から抜粋。放課後等デイサービスの場合、「指定児童発達支援」を「指定放課後等デイサービス」に差し替え。
29.支援プログラム未公表減算の新設[共通]
- 総合的な支援と支援内容の見える化を進める観点から、運営基準に支援プログラムの公表について新設する。
- 事業所に対して、5領域とのつながりを明確化した事業所全体の支援内容を示すプログラム(支援プログラム)の作成・公表を求めるとともに、未実施の場合の報酬の減算を設ける。
※1年の経過措置期間を設ける。
算定要件
〇児童発達支援・放課後等デイサービスに義務付けられている支援プログラムの作成・公表が未実施の場合。
30.個別支援計画の共有[共通]
- 指定基準において、各サービスの個別支援計画について、指定特定(障害児)相談支援事業所にも交付しなければならないこととする。
31.本人の意向を踏まえたサービス提供(同性介助)[共通]
- 各障害福祉サービス事業等の指定基準の解釈通知において、「本人の意思に反する異性介助がなされないよう、サービス管理責任者等がサービス提供に関する本人の意向を把握するとともに、本人の意向を踏まえたサービス提供体制の確保に努めるべき」旨明記する。
32.人員基準における両立支援への配慮等[共通]
- 障害福祉の現場において、治療と仕事の両立を進め、職員の定着促進を図る観点から、各サービスの人員配置基準や報酬算定における「常勤」要件及び「常勤換算」要件について、以下の見直しを行う。
- 「常勤」の計算に当たり、職員が育児・介護休業法等による育児・介護等の短時間勤務制度を利用する場合に加えて、「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業者が設ける短時間勤務制度等を利用する場合にも、週30 時間以上の勤務で「常勤」として扱うことを認める。
- 「常勤換算方法」の計算に当たり、職員が「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業者が設ける短時間勤務制度等を利用する場合、週30 時間以上の勤務で常勤換算での計算上も1(常勤)と扱うことを認める。
①管理者は、以下の条件を全て満たせる場合において、同一敷地内等に限らず、同一の事業者によって設置される他の事業所等(※)の管理者又は従業者と兼務できることとする。
・利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握しながら、職員及び業務の一元的な管理・指揮命令を行うことである旨を明確化した場合。
・管理者の責務を果たせる場合。
・事故発生時等の緊急時の対応についてあらかじめ対応の流れを定め、必要に応じて管理者自身が速やかに出勤できる場合。
※介護サービス事業所等の他分野のサービス事業所を含む。
②管理者について、以下のような措置を講じた上で、管理上支障が生じない範囲内において、テレワークにより管理業務を行うことが可能とする。
・利用者及び従業者と管理者の間で適切に連絡が取れる体制を確保していること。
・事故発生時、利用者の状態の急変時、災害の発生時等、緊急時の対応について、あらかじめ対応の流れを定めておくとともに、必要に応じて管理者自身が速やかに出勤できるようにしていること。
また、人員配置基準等で具体的な必要数を定めて配置を求めている管理者以外の職種又は業務のテレワークに関して、個人情報を適切に管理していること、利用者の処遇に支障が生じないこと等を前提に、具体的な考え方を示す。
③障害福祉サービス等事業者が障害者総合支援法等の規定に基づいて地方公共団体に対して提出する指定申請関連文書、報酬請求関連文書等について、令和5年度中に標準様式及び標準添付書類を作成する。