放課後等デイサービス 運営指導(旧 実地指導)とは?現場レポート
放課後等デイサービス事業所の“運営指導”を支える現場から
——支援スタッフに聞く、実例と見えてきた課題
放課後等デイサービスにおける運営指導(旧実地指導)は、施設が提供するサービスの質を保つため、法令に基づき行われる監査や検査の一種です。この指導により、サービスの質を向上させ、利用者の安全を確保することが目的とされています。
主に、施設の運営状況やスタッフの配置、提供する支援内容が基準に合致しているかを確認します。指導の内容や頻度は自治体により異なりますが、共通して法令遵守とサービス品質の向上が重要視されます。
放課後等デイサービス事業所にとって、行政による「運営指導」は避けて通れない重要なプロセスです。制度改定が続き、求められる管理水準が高まる中、現場ではどのような準備や対応が行われているのでしょうか。
今回は、これまで運営指導の同席・助言を多数行ってきたスタッフに、実際の経験から見えたポイントを聞いてみました!
特にはじめての運営指導の予定がある方…是非チェックしてみてください。
■ どのようにサポート担当者として運営指導に関わってきましたか?
支援内容ごとに件数は異なるものの、計10件前後の事業所に対して運営指導支援を行ってきたとのことです。
支援の種類は、行政対応の同席から、事前の助言、運営指導後の改善サポートまで多岐にわたります。
対象となった事業所の運営年数を見ると、ほぼ全てが初回の運営指導だった点が特徴的です。
新規開所後の初回指導は、どの事業所も不安が大きいため、外部の専門的サポートを求めるケースが多いとのことでした。
■ 訪問の目的は何か
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行政対応のサポート
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運営上の課題把握
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改善提案の準備
行政対応だけでなく、組織としての課題洗い出しや改善提案まで踏み込んだ支援が中心になっているようです。
■ 行政側は何人で来る?
訪問時の行政側の人数は、複数名になるケースが多いそうです。
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行政担当:2~4名ほど
運営基準担当と、加算・報酬担当に分かれるため、最低でも2名は来訪する印象。
人数が多いほど確認範囲が広くなり、資料チェックが細やかになる傾向があったとのことです。
■ 所要時間はどのくらい?
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通常は2〜3時間ほど
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数年前までは、条件次第で1時間程度で終わることもあった
制度改定により確認項目が増えたため、現在は数年前と比較して時間が長くなる傾向があるようです。
■ 確認される期間はどこまで?
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直近1か月〜1年分が基本
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内容に問題があった場合、さらに遡って確認されることもある
訪問人数が多いほど、チェックできる範囲が広がりやすい傾向があるそうです。

■ 運営指導時の“空気感”
依頼ではほとんどの事業所が初回のため、現場には特有の緊張感があります。
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「職員全員がそわそわしている」
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対応していない職員も耳をすませて様子を伺う
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終了後に「心配すぎて眠れなかったけれど、やっと寝られます…」と話す方も
複数回目の事業所では、法人代表や職員の表情にも落ち着きが見られ、
「確認してほしい」というより “お守り代わりに同席してほしい” と依頼されることもあるそうです。
■ 事業所側は誰が対応する?
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法人代表・管理者・児発管の2~3名が一般的
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過去の事故やクレームの記録があれば、対応した職員も呼ばれて状況を聞かれるケースあり
事業所の実態を把握するため、運営責任者だけでなく現場の職員にも質問される場合があります。
■ 行政からの指摘で印象に残ったこと
指摘内容は事業所の状況により異なるものの、特に印象に残った点として次が挙げられました。
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担当者により確認範囲が異なること
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口コミや家族からの評価も事前にチェックされていること
運営実態そのものだけでなく、事業所の外部評価も行政が把握している点は、多くの事業所が見落としがちなポイントです。
■ 実際に現場で感じた課題
現場に立ったからこそ見えた課題として、次の指摘がありました。
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記録物は確認していても、どうしても漏れが生じやすい。定期的な再チェックが不可欠。
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報酬改定情報が分かりにくく、細かい解釈違いによるミスが起こりやすい。
制度変更の理解遅れや記録の抜け漏れは、どの事業所にも起こりうるリスクといえます。
■ 行政から実際に受けた指導の例
差し支えない範囲で教えていただいた内容は、次のとおりです。
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委員会の議事録が作成されていない…
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欠席時の記録が簡易的で、加算要件を満たさず返金対応に…
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個別支援計画書の不備・未作成のまま支援を実施し、減算対象に…
いずれも、「日常からの積み重ね」が問われる項目です。
■ 運営指導前に実施した対策
運営指導に向けて行った準備としては、
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過去の指導事例の共有
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指定権者のチェックシートに基づく記録物・研修・委員会の確認
など、行政目線での確認項目を事前に整理し、抜け漏れを把握することを重視していたとのことでした。
■ 事業所に伝えたいポイント
運営指導に向けた準備や日常運営のポイントとして、次の言葉が寄せられました。
「不明点は小さなことでも指定権者に確認する癖をつけること。確認結果は必ず記録に残すこと。」
解釈ミスを防ぐだけでなく、後に行政の見解が変わった場合でも、事業所を守る「証跡」になるという考え方です。
■ 頭の片隅に置いておいた方が良い事
恐らく、運営指導と聞いて「怖い」と感じる方が多いと思います。
ただ、初回の運営指導でなくても、どこかしら細かい所で指摘はされるもの。
であれば、致命的なミス・漏れが無いように注意しつつ、初回だからこそ「分からないので教えてください。」というスタンスで臨むくらいが気持ち的にもちょうど良いと思います。
完璧を求めるのではなく、分からない所は正直に聞く。
期間が経てば経つほど基本的な部分が聞きづらくなりますし、出来ていない部分を隠してしまうと後々発覚した時のダメージがとても大きくなりますので、「事業所の未来の為に、今教えてもらう」という意気込みで臨んでみてください。
■ 支援担当としての思い
最後に、支援担当者が大切にしている想いを伺いました。
「お伝えする内容に誤りがないこと。皆様が安心して運営に臨めるよう、行政確認や情報収集を徹底し、チーム一丸で取り組んでいます。」
運営指導は不安がつきものですが、専門的な支援があることで、事業所の安心にもつながっていることが伝わるコメントでした。
放課後等デイサービス事業所の「開業」の先、「運営支援」について興味がある方も、是非株式会社健生にお問合せ下さい。


