放課後等デイサービスの開業資金の目安はいくら?内訳や4つの資金調達の方法まで解説!
皆さん、放課後等デイサービスというものを聞いたことはありますか?障がいを持ったり発達に特性がある児童のサポートに向けてつくられた通所施設です。
今回は、その放課後等デイサービスの開業資金の内訳、資金調達方法や準備において重要となるポイントを解説します!
放課後等デイサービスの開業資金の目安とは?
放課後等デイサービスの開業資金の目安は、初期費用と運営費用を合わせて1500〜1800万円程度です。
放課後等デイサービスの利用料の90%は、児童福祉法に基づく障がい児通所給付金で賄われます。しかし、この給付金が事業者に振り込まれるのは利用から約2ヶ月後となるため、初期の運転資金として少なくとも2ヶ月分を確保しておく必要があります。
さらに、収益が得られない間の生活費も準備しておく必要があるのも忘れてはいけません。
利益が見込めない初期段階では、この運転資金が事業の継続にとって非常に重要です。
以下では、初期費用と運営費用の目安について説明します。
初期費用の目安
放課後等デイサービスの開業に必要な初期費用は、一般的に800万円程度が目安です。
この費用には、法人設立、物件取得や内装施工、送迎車の購入、人員採用、利用者募集、そして備品の購入費などが含まれます。特に、物件の取得や車両にかかる費用は、大きなコストを占めます。あらかじめ開業したい立地の相場を確認しておいたり、リースの利用を検討したりしておくと良いでしょう。
運営費用の目安
運営費用は開業後少なくとも数ヶ月(3〜7ヶ月)は必要となるため、800万円程度を運転資金として準備しておくのが一般的です。この期間は、初めての収入が入るまでの運営費用をカバーする必要があるからです。さらに、利用定員が開設後からすぐ満員になればよいですが、うまく利用者が募集できなければ、収入が減少してしまう恐れもあります。
例えば、運営費用を3ヶ月分として計上した場合、人件費は約360万円、家賃は約120万円、諸経費は約30万円、合計で510万円程度が目安となります。運営期間が長くなるほど費用も増加するため、7ヶ月分を見込む場合にはさらに多くの資金が必要です。
放課後等デイサービスの開業資金の内訳とは
放課後等デイサービスの初期費用の内訳
ここでは、放課後等デイサービスを開業するときの事業開始費用と設備費用について解説します。
- 法人設立費用
放課後等デイサービスを開業するためには法人格が必要です。法人設立には費用がかかり、株式会社の場合は約25万円、合同会社では約10万円、NPO法人や一般社団法人では数万円程度がかかります。
- 送迎車に関する費用
送迎ありの事業所では、児童が通所するとき、送迎バスは欠かせません。そのために、一般中古車1台につき50〜200万円ほどの購入費用がかかります。
事業所の規模にもよりますが、開業時には最低1台の車が必要です。お子様の利用が増えてきたら定員10名の事業所であれば2〜3台あることが望ましいです。たくさん子どもを乗せられるミニバンや、女性スタッフでも運転しやすい軽自動車など、用途によって使い分けられるのも良いですね。中古車でも購入する際は資金が必要ですから、資産状況によってはカーリースの利用を検討されてもよろしいかと思います。
- 物件取得・内装費用
不動産取得費用(事業所の敷金や礼金、仲介手数料、前家賃 )は、一般的には100〜200万円程度かかります。内装工事費(物件のリフォーム)は、状況により50万円〜200万円ほど。スケルトン物件などの場合は500万円以上になるケースもあります。
- 人員の採用費用
無料のハローワークから有料の人材会社の求人広告まで様々なものがあります。特に有料の求人サイトを使うときは、1人あたり30万円ほどかかります。
- 備品の購入費用
必要な費用は、80万円程度になります。利用者側備品(机、いす、おもちゃ、絵本、教材、訓練用具、体温計)、事務用品(机、いす、ロッカー、PC、コピー機)、家電製品(冷蔵庫、電子レンジ、テレビ、掃除機など)が含まれます。
- 保険料
必要経費は20万円程度です。施設の賠償責任保険、子どものケガに備えた保険、火災保険や送迎車の自動車保険などが含まれます。
- 利用者の募集費用
広告宣伝費用は、50万円前後です。方法は様々ですが、例えばWEBサイトやパンフレットや広告媒体で、エリアに広く告知をする際にある程度のクオリティのものをつくる必要があります。
放課後等デイサービスの運転費用の内訳
次に、放課後等デイサービスを開業した後の運営に欠かせない運転費用について解説します。以下では、一ヶ月分の費用を紹介しますが、利益が上がるまでの数か月間費用が出続けることを忘れないでください。
- 人件費
児童発達管理責任者1名、常勤2名の計3名の場合、80〜90万円(内訳:児発管28万、保育士22万×2m、賞与引当1万、通勤費1.5万、法定福利約13万)かかります。人件費の内訳は、職員の給与、福利厚生費、通勤交通費などです。
- 家賃
家賃は15万円〜20万円ほどです。毎月の固定費である物件家賃は、少しでも安くできるように家賃交渉などをご自身でチャレンジしてみましょう!
- 諸経費
上記、家賃に加えて、光熱費、営業費、雑費、車両維持費など、総額月50万円以上かかります。
放課後等デイサービスの開業資金はどうやって調達する?
放課後等デイサービスの開業には、1500〜1800万円程度が必要です。
そのため自己資本だけで開業するのは現実的ではなく、金融機関からの資金融資などを活用するのが一般的です。
具体的には、日本政策金融公庫の制度を活用することができます。民間の金融機関で融資を受けるとなると、高い返済能力が問われるため、開業前後には融資を受けることはとてもハードルが高くなります。
仮に、民間の金融機関からの融資を受けるときは、保証人に事業者の信用力を補完できる信用保証協会の利用も検討する必要があります。
調達するときの注意点は、開業資金の調達先と融資の種類の調査、同業他社との差別化、創業計画書の作成を綿密に行い、事業そのものが実現可能なことを説明できるようにすることです。
次の章では、放課後等デイサービスの開業が可能な具体的な融資制度について紹介します。
放課後等デイサービスの開業資金の調達で使える4つの融資制度
日本政策金融公庫の新創業融資制度
日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は、放課後等デイサービスや児童発達支援に関連する事業を開業するときに利用できる制度です。
融資を受けられるのは、営利・非営利法人で、この制度で認められる資金用途は事業開始費用、設備資金や運転資金が該当します。
無担保及び無保証人で、融資額の上限は、3,000万円でうち運転資金は1,500万円まで借り入れることができます。利率は、基準利率を適用し、資金用途に特別利率を適用する場合もあります。
ただし、新創業融資制度の場合は、借入金額が減額されるケースがほとんどだと考えておくのがベターです。上限は1000万円となるケースが多く、そこから状況に応じて100〜500万円ほどの減額がある場合も。そのようなケースの場合は、他銀行との「協調融資」を利用して資金調達を行います。
手続き期間は、開設スケジュールによるため相談が必要となります。また、返済期間は、各種融資制度の規定の返済期間以内であることと事業計画書等を基に決定します。
融資を受ける際は、ぜひ弊社にご相談下さい。放課後等デイサービス事業においては、全国200件以上の開業支援実績があり、そのうち多くのお客様で資金調達をお手伝いしております。弊社は日本政策金融公庫と連携しており、事前の相談や、より専門的な事業計画書の作成のご支援が可能です。
各自治体の中小企業向けの融資制度
中小企業融資制度は、各自治体や金融機関、信用保証協会の三者の協調によって融資を受けやすいように作られた融資制度のことを指します。
多くの自治体で導入が進んでおり、自治体が金融機関の貸付原資の一部を負担することで長期間低利率固定な融資を実現させ、信用保証協会に支払う保証料の一部を自治体が補助することで、負担の軽減を図った制度です。
独立行政法人福祉医療機構の融資制度
独立行政法人福祉医療機構の融資制度は、放課後等デイサービスや児童発達支援事業を含む社会福祉施設を整備するときの設備・設置資金、施設運営に必要な経営資金を、長期間、低金利を固定で融資する制度です。特に、利率は、消費者貸借契約締結時のものを適用します。
放課後等デイサービスや児童発達支援事業の施設は、新設するよりも物件を契約することが多いため、この制度で認められる資金用途は経営資金、設置・設備資金です。特に、経営資金だと、1〜3年間の返済期間が設定されます。
融資を受けられるのは、営利・非営利法人で、融資限度額は、(基準事業費ー法的・制度的補助金)×融資率か、もしくは担保評価額×70%のいずれか低い額に設定されます。
ただし独立行政法人での融資審査については、日本政策金融公庫と比較して審査に時間がかかります。新規法人の方については、日本政策金融公庫の創業融資がおすすめです。
保証付融資・プロパー融資
金融機関からの融資方法には、信用保証協会の保証を付ける「保証付融資」と、直接融資を受ける「プロパー融資」があります。
プロパー融資は保証料が不要で低金利というメリットがありますが、返済能力が厳しく問われるため、融資のハードルが高くなります。特に、開業前や開業直後の企業にとっては難しい場合が多く、審査のスピードは速いものの主に大企業や中堅企業向けの融資制度です。
放課後等デイサービスの開業資金の調達前にやっておくべき準備とは?
金融機関からの融資を受ける際に重要なポイントが3つあります。
それは、「何の為に開業するのか」や「夢や目標」、「これまでの経験や実績」です。
これらの項目を具体的に書き出しながら、シミュレーションを元に資金調達、年間収益、返済計画、短期・中期・長期の収支計画などを具体的に数字化し、事業計画書・創業計画書を作成し、融資を申し込む際に金融機関へ必ず提出する必要があります。
一般的に、金融機関は多く借りて、きちんと返済できる人に貸したいと考えているため、事業計画書の内容も大事になってきます。そこで、個人ではなく事業計画書の作成自体を専門家に依頼するほうが、希望通りに融資が通りやすくなります。
また、仮に、自己資金が足りなくても、諦めずにその不足分を一定期間内に集められる能力があれば、将来的に融資を受けることが可能です。
放課後等デイサービスの開業資金に関するQ&A
放デイの開業は自己資金なしでできる?
自己資金なしでも融資を受けられる場合があります。
例えば、日本政策金融公庫の新創業融資制度では、現在の勤務先と同じ業種で事業を始める場合、自己資金要件を満たすとされています。
しかし、自己資金なしで審査を通過するのは難しく、可能な限り自己資金を用意しておくことが望ましいです。金融機関の信頼を得るためにも、事業計画をしっかりと準備することが重要です。
開業資金の融資が受けられない場合はどうする?
融資が受けられない場合は、金融機関に「事業が成功する見込みがない」と判断されている可能性があります。この場合、事業計画や収支計画を見直し、金融機関の印象を改善することが必要です。
また、自身のキャリアを振り返り、融資する価値のある人間として認められることも重要です。自己改善が難しい場合は、専門家の助けを借りることも一つの方法です。
まとめ【放課後等デイサービスの開業資金は事前準備が大切!】
ここまで、放課後等デイサービスを始めるための開業資金の内訳、資金調達方法や準備のポイントまで解説してきました。放課後等デイサービスでは、今後、益々利用ニーズが増えると予測される一方で、多様な障がいに対応しつくせていないのが現状です。
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