放課後等デイサービスは家族経営できる?4つの開業条件と注意点を解説!
放課後等デイサービスとは、6歳から18歳(小・中・高校生)の障がいのある子どもたちを支援する施設です。ただ預かるだけではなく、生活能力向上や自立を支援する活動を行います。厚生労働省が定める基準を満たせば民間でも運営できますので、年々市場が拡大し、参入事業者が増加している業界です。
この記事では、放課後等デイサービスが家族経営できるのか、開業条件や注意点も含めて詳しくご紹介します。
放課後等デイサービスは家族経営できる?
放課後等デイサービスは家族経営が可能です。厚生労働省によって開業の基準が定められているので、それをクリアしていれば問題ありません。施設の利用者定員は最も小規模で10名からで、必要な人員は管理者・児童発達支援管理責任者・児童指導員・保育士などです。兼任可能な業務もあるので、利用定員を10名とする場合は、最低3人のスタッフで運営することができます。
家族で放課後等デイサービスを経営するメリット
採用コストを節約できる
1つ目のメリットは、スタッフを募集するコストがかからないという点です。放課後等デイサービスを新たに運営する場合、求人コストとして約50万円ほどがかかります。また、放課後等デイサービスで働くことのできる専門性のあるスタッフを探すには、時間もかかります。
対して家族経営の場合、求人コストも時間もかかりません。ただし、家族が人員基準を満たしておく必要があります。人員基準に関しては後ほど詳しく解説しますが、それぞれが基準に沿った資格を持っておく必要があります。
人間関係のトラブルが起こりにくい
どの職業でもそうですが、職場では人間関係のトラブルが起こりがちです。特に小規模の運営を行う場合、少ない人数間でのトラブルは大きな問題に発展しやすいです。
家族経営の場合、互いに信頼し合っているのでそのようなトラブルには発展しにくいと言えるでしょう。開業したばかりで経営が安定しないときでも、家族間で支え合えると心強いです。
メンタル面のサポートがしやすい
放課後等デイサービスでは、子どもたち一人一人の特性や発達状況が異なります。試行錯誤しながら子どもたちと関わっていくことになりますので、スタッフ自身の悩みも生まれやすいです。特に放課後等デイサービスの離職理由は、精神面が疲れてしまったからということも多いようです。同じ職場で働いている家族だからこそ、共感し相談し合える環境をつくりやすいのもメリットのひとつです。
放課後等デイサービスを家族経営に関する4つの条件
法人格を有している
家族経営でもそうでなくても、放課後等デイサービスを開業するには法人格が必要です。まずは株式会社、NPO法人、合同会社などといった法人を設立しましょう。その際には、事業目的に福祉事業を行う旨を記載します。また、既に法人格を持っている場合は、事業目的を追加するために定款の変更手続きを行います。
指定基準を満たす
人員基準
放課後等デイサービスで必要な最低人員基準は以下の通りです。ただし、放課後等デイサービスの定員によって必要な人員の数が異なりますので注意しましょう。
①管理者(1名)
・常勤
・資格要件はなく他の職務との兼任可能
②児童発達支援管理責任者(1名以上)
・常勤
・福祉や教育での直接支援の経験と、サービス管理責任者研修・相談従事者研修の修了が必要
③保育士・児童指導員(2名以上)
・保育士・児童指導員のどちらかは常勤であること
・障がい児の人数が10名を超える場合、10人から5人以下ごとに人員を1名追加
設備基準
①発達支援室(指導訓練室)
・子どもたちが過ごすプレイルーム
・障がい児一人当たりの床面積が自治体ごとに決められている
②事務室
職員と備品を配置できるスペースが必要
③相談室
相談内容が漏れないよう、プライバシーに配慮した空間であること
④洗面所・トイレ
衛生面での配慮が必要
運営基準
①施設の定員
利用定員は10名以上。ただし、重度心身障がいである場合は5名以上。
②個別支援計画書の作成
子どもたちの特性や発達状況を配慮した上で作成し、学校と連携する。
③サービス内容や手続きの説明・合意
利用者に対してサービスについて説明し、同意を得る。
④利用者への指導・訓練の実施
子どもたちの特性や発達状況にあった養育プログラムを実施する。
⑤利用者からの相談・援助
保護者と情報を共有し、適切なアドバイスや支援を実施する。
⑥緊急体制の整備
協力医療機関を定めて、緊急の事態への備えを行う。
⑦非常時や災害時の対策
防災マニュアルの策定や消火設備の配置、訓練を実施する。
放課後等デイサービスではただの預かりだけでなく、適切な支援・サービスを行う必要があります。そのために必要な運営基準をクリアしておく必要があるのです。
家族経営の放課後等デイサービスを開業する手順
①事業内容の検討、指定基準の確認
事業計画や資金計画を練ります。放課後等デイサービスでは、預かりだけでない障がい児支援サービスが必要ですので、しっかりと検討しましょう。
②法人設立
先ほども申し上げましたが、放課後等デイサービスを開業するには法人である必要があります。法人格を取得するか、既にある場合は定款変更等の手続きを行います。
③行政機関との事前協議
事業を行う建物が基準をクリアしているかどうか、役所との事前協議を行う必要があります。
④物件準備、内装工事、備品設置
事前協議が終わったら物件の内装工事や備品の設置を行います。
⑤申請書類の作成・提出
申請の受付期間内に補正まで終わらせる必要がありますので、予め申請先に相談しておくのがおすすめです。
⑥管理者の研修・障がい児支援業者の指定
書類の申請が受理されると、指定業者として決定されます。その後管理者の指定時研修が行われます。
⑦最終準備
必要に応じてHPの作成や請求ソフトの選定・導入などを行います。
⑧事業開始
指定研修を終えた約10日後の毎月1日が指定日で、事業を始めることができます。
放課後等デイサービスの家族経営における3つの注意点
人員基準を必ず満たす
先ほどご説明した人員基準を満たしていない場合、放課後等デイサービスを開業することができません。特に放課後等デイサービスの人員基準は日々更新されており、直近では令和3年度に指導員の基準が変更されています。新しい情報もきちんと入手し、人員基準は常に満たしている状況にしておきましょう。
責任の所在を決めておく
家族経営だからといって、役割分担を曖昧にしておくのは危険です。どの業界の家族経営にも言えることですが、きちんと職責の所在を明らかにしておくことで、万が一の対立のリスクを押さえられます。経営の停滞を防ぐためにも、きちんと役割を定めておくことが大切です。
他の放デイと差別化を図る
放課後等デイサービスの運営では差別化が重要です。特に近年は事業への参入が増加していますので、より重要度が増しています。保守的な経営をしてしまいがちな福祉業界ですが、利用者のニーズに合わせて魅力的なサービスを行う必要があります。
まとめ
今回の記事では放課後等デイサービスの家族経営について詳しくご紹介しました。利用者の人数にもよりますが、小規模の経営であれば家族経営も不可能ではありません。家族経営だからこそのメリットも多くありますので、今回ご紹介した注意点に気を付けながら挑戦してみてはいかがでしょうか。
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