放課後等デイサービスが赤字になる3つの理由とは?赤字を防ぐ開業の2つのコツ
放課後等デイサービスは始めやすい事業ではありますが、なかには経営がうまくいかず赤字になってしまう事業所もあります。今回の記事では、放課後等デイサービスにおいて赤字になりにくい運営のポイントについて、放課後等デイサービスの現状や今後も含めながら詳しくご紹介します。
放課後等デイサービスは赤字が多い?
独立行政法人福祉医療機構の調査によると、放課後デイサービスの事業所の4割ほどは赤字であることが分かっています。だからと言って「放課後等デイサービスは事業として成立しないのではないか」「始めない方が良いのではないか」とまで心配する必要はありません。
放課後等デイサービスは事業構造がシンプルなので理解しやすいですし、他業界よりも初期投資が少ないので始めやすい事業です。また、報酬の90%は国からの支払いですので利用料金の未回収・遅延といったトラブルも起きにくいです。
放課後等デイサービスが赤字になる3つの理由
人員基準を満たしていない
放課後等デイサービスの収入の多くは国からの給付費です。給付費をもらうには条件があり、特にスタッフの人員基準が満たされているかどうかはとても重要です。
例えば、児童指導員や保育士の人数が足りていない場合は給付費の基本金額が30%減額されます。そして、その状態が5ヶ月以上続いたり、児童発達支援管理責任者が3か月以上いない場合は50%減額されます。職員の資格の有無や人数で月の収入がかなり違ってくるのです。
障がい福祉サービス全体で人員不足が懸念されており、黒字経営のためには人員確保がカギになると言えそうです。
加算を取得できていない
放課後等デイサービスにおいて収入を増やすには基本報酬にプラスして加算を取得することが大切です。
放課後等デイサービスの1日の給付費は以下の計算で決定されます。
【1日児童あたりの単位数】×【地域単価(10円~)】×【人数】
1日児童あたりの単位数は「基本報酬+加算単位数」です。つまり加算単位数を取得することで1日の収入をあげることができます。例えば「児童指導員等加配加算」では123単位(児童指導員等)を取得できます。また、保育士を加配できる場合は187単位、児童の送迎は往復で108単位です。
有資格者は給料が高いからと採用を渋ることもあるかもしれませんが、加算の取得について理解し優先して有資格者を採用したほうが収入アップが見込めます。また、一般職員もスキルアップによって加算を取得できる可能性もあります。
障害福祉サービス報酬の改定
放課後等デイサービスの報酬は3年ごとに見直しが行われています。直近では平成30年度と令和3年度に改定が行われました。
例えば平成30年度の改定前までは、子どもの利用時間や人数によって報酬区分が定められていました。しかし、平成30年度の報酬改定によってスタッフの資格の有無によって加算されるように変わりました。また、令和3年度には基本報酬の減額とケアニーズの高い子どもの受け入れに対する加算が強化されています。
このように人材不足が懸念されている中でも、サービスの質の向上を図るために専門性の高いスタッフの配置などが求められています。基本報酬の減額も行われましたので、加算を得なければ経営はますます厳しくなってしまうでしょう。
放課後デイサービスは今後どうなる?
預かり支援は公費の対象外になる
今後の放課後等デイサービスでは個別の特性や発達状況に合わせた支援、専門スタッフによる子どもの自立や社会参加のためのサポートがより求められるようになります。
しかし、放課後等デイサービスのなかには、専門的な支援をせずに学童のように預かりのみを行っている事業所や学習塾やピアノ教室のような指導に特化した事業所もあります。これらは現在国が考えている放課後等デイサービスの在り方と異なりますので、今後公費の対象外になる予定です。
行政は専門性や個別の支援といった方向性を目指しています。それに合わせた運営方針にできるかどうかが運営の重要なポイントです。
放デイが2類型化される
総合支援型
総合支援型では、現在の運営方針である以下の4つの基本活動を組み合わせてプログラムを作成します。
・自立支援と日常生活の充実のための活動
・創作活動
・地域交流の機会の提供
・余暇の提供
「自立支援と日常生活の充実のための活動」では、意欲的に取り組める遊びの提供や発達段階に合わせた日常生活での動作の習得、自立のための支援などを、「創作活動」では豊かな感性を身につけたり表現の喜びの体験などを目指します。また、「地域交流の機会の提供」では社会経験のための地域の人との交流を、「余暇の提供」では子どもたちが自由に遊ぶ時間やリラックスの練習などの活動を行います。
特定プログラム特化型
特定プログラム特化型では総合支援型より専門性の高い支援を提供する予定です。
詳細はまだ決まっていないのですが、発達状況に合わせた個別のプログラムや児童発達支援センターなどの専門機関がその役割を担えるかどうかなどが検討されています。
放課後等デイサービスを赤字にしない開業の2つのコツ
保護者が放課後等デイサービスを選ぶときには、子どもを安心して預けられる信頼できる施設かどうかを重要視します。また、それに加えてサービスの内容なども検討材料になるでしょう。そのため、他の放課後等デイサービスとの差別化が重要です。
独自のサービスの提供
質の高いサービスを提供することはもちろんですが、他の放課後等デイサービスと差別化するには独自のサービスを展開することも必要です。保護者にとってはどこも似たサービスを行っているように見えますので、特化している支援や送迎サービスなど独自性をアピールすると良いでしょう。
支援プログラムの明確化
支援プログラムが曖昧だと、他の放課後等デイサービスとの区別がつきません。支援プログラムの目的や計画を明確にし、利用者に提示することで差別化はもちろん利用者の安心にも繋がります。支援プログラムの目的や計画は、業界や競合市場を把握したうえでニーズがありつつ、差別化が図れるものにする必要があります。また、軌道に乗せるまでも時間がかかりますので、早めの準備が大切です。
差別化の詳しいやり方については、以下の記事でもご紹介していますのでぜひご覧ください。放課後等デイサービスを差別化する3つのポイント!差別化の手順や注意点まで解説
まとめ
今回の記事では放課後等デイサービス経営を赤字にしないポイントについて詳しくご紹介しました。放課後等デイサービスの事業所が増加しているなか生き残るためには、支援の質の向上がとても重要です。
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Kensei療育.netは放課後等デイサービスの運営のポイントを「幅広い多機能型の支援」と「幅広い社会性への対応」だと考えています。これからは単なるお預かりサービスではなく、子どもたちの個性に合わせた専門的な支援や、幅広い社会性を身につけられる場としての役割がより必要とされていきます。
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